伝統構法の耐震性

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伝統構法における耐震性を表現するにはどういった言葉が適しているだろうか。

「地震力を摩擦力に変える」が最も端的に表現していると思います。

石場建てでは石と柱、そして継手、仕口。

木と木を組むことによって摩擦が生じる部分が多くなり、その分地震力が逓減されると考えます。

この写真は改修現場での足固め補強です。地長押のように柱を両側から相欠きにて挟みこんでいます。

摩擦面はかなりとれていると思います。

伝統構法はガチガチに固めるのではなく、揺れながら、きしみながら、緩やかに受け流していくのだと思います。

木材

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シロアリ被害により柱を差し替えました。この写真の左側が元の米松の柱。右が以前の修理で根継ぎした杉材。

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この写真で下が米松、上が杉。侵食の範囲が違います。まして地面に近い側の杉のほうが被害が少ないようです。使用する材種は大事な要素だと確信しています。

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米松の柱がシロアリ被害にあっていた柱です。檜材にて根継ぎをしました。

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根継ぎをした柱の下には鉛板を敷いています。水を吸いにくくするためです。

木造にとっての大敵は水です。如何に雨仕舞をするか、湿気を溜めないか、

そこを大事にすることが長持ちさせる要因だと思っています。

また使用する木材も種類も大切な要因です。

伝統構法

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和室二間と縁側を解体してリビング・ダイニングにリフォームしました。

伝統構法による家作りです。

六寸の柱で牛梁を支えています。

それに小屋張りを掛け渡しています。

一般的な和小屋組です。

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天井は小屋組表しです。

構造材は檜の柱と地松です。化粧野地板は杉を使っています。

床は桜のフローリング、壁は漆喰の薄塗り仕上げです。

伝統構法を伝えるために

家づくりを直接感じて頂くために、ショールームを建築しています。

石の上に足固めで繋いだ柱、それを差し貫で固め、梁で繋いでいます。

込栓・胴栓・端栓などの木栓で止め、絞めています。

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墨付けをする前に必ず絵図板を描きます。

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足固めの墨と刻み後です。五の後ろの足固めです。

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金輪大栓継です。

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金物を使わず、木を組、固めることで、部材通しのめり込みや摩擦によって地震力を減衰すると考えられているのが、伝統構法です。

長持ちするためには無くてはならない構法だと考えます。

日本一 木の国美作フェア

1月16,17日イオンモール倉敷にて表記のフェアが開催されました。

そのイベントの目玉で設計コンテストがありました。

テーマは「みまさかの森を感じる家」でした。それに参加した際の図面が以下のものになります。

伝統構法の家づくりを図面で表現するのは思いのほか難しく、苦労しました。

原建築P1

原建築P2

しかしその困難さが逆に改めて家づくりを考えることにもつながりました。

「暮らし継ぐ」という言葉を大切に家づくりをしていこうと考えました。

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木の性質

3寸5分角の檜を半分に割ってみました。

芯がほぼ中央にあるので、そんなに反らないだろうと予測していました。

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木口の様子

僅かに切り残しのある状態

僅かに切り残しのある状態

完全に切れた状態

完全に切れた状態

少し反りがありました。

木は木表側に反ろうとします。木表とは木の表面側です。

この最も木特有の性質が良いこともあれば悪いこともあります。

そこを間違えずに使っていくことが大工に求められます。

富山 島崎棟梁

昨日の読売新聞に掲載された記事です。

私がゼネコンの現場監督から大工を目指した頃、思っていた事を親方が語っていました。

工期と原価に追われる中で物づくりを考えた結果、今があります。

「作る喜び」世の中全てに当てはまる言葉ではないでしょうか。

この親方の顔を思い浮かべながら仕事に取り組みたいと思います。

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ヘリテージマネージャー Ⅱ

 

歴史文化遺産を生活に活かすメネージメントとあります。その養成講座で津山市城東地区の見学に参加してきました。

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伝統的建造物群保存地区で江戸期の街区がそのまま残っている地区です。当日はだんじり祭りの日で地域の伝統文化を守り伝えている様子も感じられる一日でした。

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1キロ以上続く街並みをゆっくりと説明を聞きながら歩きました。江戸時代と同じ道幅でそのままの建物も残っている中を歩くのはどことなく心地よいものでした。津山は城下町です。しかし商家は残っているのですが、武家屋敷は残っていません。そのあたりの理由は解りませんが、「使い続ける」という言葉がキーワードのように感じました。必要が無くなると壊される。ではないでしょうか。

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屋根の形や高さ、下屋庇の連続性など整った街並みでした。そしてなによりも生活を感じることが出来たのが素晴らしいと感じました。観光地でなく生活の場であることが守り続けることができる条件だと思います。すれ違う子供たちが気持よく挨拶をし、玄関先に腰掛けている御爺さんが話しかけてくれる。ご近所同士で大きな声で話をしている。

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その日常が大切なのでしょう。これから実家の商店を再利用していこうと考えています。出来てまだ25年程度の商店街ですが、急速にシャッターを閉めた店が増えてきました。

なんとかしたいと考えています。「使い続ける」というキーワードを頼りに頑張ります。

家づくりの素材:基礎

現在の住宅において基礎はほとんどが鉄筋コンクリートで構築されています。私も同様の基礎で住宅を建てましたが、100年、200年持つ家づくりは伝統構法以外にないと確信をしています。するとそこに大きな矛盾が生じています。耐用年数50年と言われる鉄筋コンクリート造の基礎に100年持つ木造住宅を載せても結局50年しか持たないことになるのではないだろうか。

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現行の建築基準法において鉄筋コンクリートの基礎は無くてはならないものです。(例外もありますが)もし50年後基礎が耐えられなくなった時にはどうなるのでしょうか。

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2013/12/10 15:15

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しかしそこにも責任をもった工法が求められるのではないでしょうか。伝統構法で建てた家は金物を用いません。木組みだけで構築されています。そして差し貫、土壁塗りであれば、容易に解体できるでしょう。そして再建築できます。更には主要な柱を落し柱としているため、基礎の崩壊の程度によって解体せずともしっかりした修正が可能だと考えています。DSCF0125 IMG_8217 IMG_8216

100年後私は確認することはできませんが、孫かひ孫が見て報告してくれると幸せです。

ヘリテージマネージャー

ヘリテージマネージャーとは「地域に眠る文化遺産を発見し、保存し、活用してまちづくりに活かす能力を持った人材」と定義されています。

その講習会に参加してきました。

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その会場となった広大な敷地で城を思わせる石垣が構築された大邸宅です。現在は空き家同然の状態です。

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文化遺産・文化的価値のある建築。住宅で考えるなら、江戸、明治、大正時代の豪邸あるいは古民家と呼ばれる建物でしょうか。財力があれば保存していくことは可能でしょう。しかし多くに建物が空き家になる原因はそれを保つ人と財力が無くなるからです。また保存するための技術はあるでしょう。しかしそういった仕事が減少していくとそれも無くなってくるでしょう。

建物を維持・保全していくためには「活用」が最も重要なキーワードになってくるように思えます。そうなると建築家だけでなく経営のプロの力が必要となってきます。解りきっていることでしょうが、最も難しいテーマなのだと思います。

残していく技術を磨きながら、どうすればその建物が活用されるのかを、考えていきたいと思います。