家づくりの素材;塗装
塗装について思うことを少々。岡山は白木の文化だと思います。そのためには高価な節のない木を使いたくなります。また当然使っています。私が学んだ中にはそこまで節のない木を使うという感覚はありません。何よりも塗装するからだと思いますが、そういった木が少なかった、高価だったから塗装したのか?どちらが先かわかりませんが。ただ、塗装する方が「長持ち」するというのは確かです。塗装というより保護です。
ところで写真の外壁は「焼板」「焼杉板」と言われる外装材です。真に長持ちするメンテナンスいらずの材料です。下の写真の板で35年以上経っています。表面の墨はほぼなくなっていますが、まだまだいけそうです。浴室、脱衣場リフォームに伴い、新しい墨付きに張替ました。上の写真が新しい墨付き板です。
次の写真は焼杉板の墨を落した材料です。人が当たる可能性の多い所で使用します。墨を落しているので持ちは悪くなります。
焼くという作業は塗装とは違いますが、それに代わる優れた工夫だと思います。
これは原建築で建てた家の腰板です。杉板に塗装です。呼吸するために浸透性の塗料を使っていますが、5年、10年と再塗装が必要です。焼き板と違い少しみすぼらしくなってしまいます。ちなみに塗料はこれです。
次の写真は約20年の外壁です。お客さん曰く「焼板」を張ってもらったというのですが、どこか上記の墨付き板とは違うようでした。どちらかと言うと塗装品でした。今回再塗装しました。
板本来の古くなった感じが墨付きの板とは違います。
以前「古びるとは古美る」と聞きました。「古美る」のは材料でなく素材だと。
新建材にない自然素材の良さがそこにあるのでしょう。アルミサッシでは出ない木製建具の味わい。
「長持ち」と「古美る」どちらも大切な家づくりの素材です。